April, 2010

なんとなくクリスタル 音楽ツアー archives for April, 2010.


マイケル・フランクス

Michael Franks

由利は、結局午後のフランス語の授業に出ないことに決める。

決めてしまうと、かったるさなんてどこかへ飛んでいってしまいそうな気がしてくる。といっても、雨の日に一人でベッドにもぐり込んでいるのだから、グルーミーな気分まで、どこかへ行ってしまった訳じゃない。

この辺、けだるさを楽しむ気持と、陰鬱さを少し柔らげようとする気持が微妙に綱引きをしているのがよく描写されています。

真夜中だったら、

マイケル・フランクスやケニー・ランキンあたりのレコードを聴くのもいい。

でも、こうしたレコードは雨の日になんて聴くと、余計にメランコリーになってきてしまいそうだ。

マイケル・フランクス Michael Franks には注がついてます。

カリフォルニア州出身。モントリオール大学で学び、「現代歌曲の創作とその社会の関係」という論文で、音楽作曲の博士号を持つ。トミー・リー・ピューマに発掘された彼は、ジャージーな感覚を持つシティ・ポップ歌手。

曲は何でしょうね。

小説の書かれた1980年より前のあたりのアルバムといえば


1977 Sleeping Gypsy

1978 Burchfield Nines

1979 Tiger in the Rain

など。

個人的にはやはり Sleeping Gipsy

の中の、日本ですごくヒットした

「アントニオの歌 Antonio’s Song (Rainbow)」

「レディ・ウォンツ・トゥ・ノウ Lady Wants to Know 」

あたりかなと思います。

マイゲル・フランクスはずっとコンスタントに活躍していて、2006年の Rendezvous in Rio まではほとんど毎年のようにアルバムを出していますし、今年(2010年)の1月には来日公演もしています (ビルボードライブ東京、大阪)。

ポール・デイヴィス 「アイ・ゴー・クレイジー」

Paul Daivs – I Go Crazy

外は雨が降っていて、何をするのもかったるいという由利。

FEN は

イッツ・イレヴン・トゥエニイセヴン。アンドゥ・ヒア・カムズ・ポール・デイヴィス。

もう午前11時半近く。

一九七八年のポール・デイヴィスのヒット曲、「アイ・ゴー・クレイジー」が、かかり始める。

昔の恋人への思いをしっとりと歌う歌ですね。


Paul Davis, “I Go Crazy”

この歌を聴いて、由利は

〈アイ・ゴー・メランコリー、アイ・ゴー・グルーミーだわ〉と思いながら、ベッドの下に落ちているセーラムの箱を拾い上げてみる。枕元にあったディスコのマッチで、火をつける。

この歌を聴いたときに感じるメランコリックな感じがよく出ています。

この曲、映画化された「なんとなく、クリスタル」の中でも使われてました。

実は、この小説が書かれたときにはもちろんん分かるはずもなかったのですが、1948年生まれのポール・デイヴィス、60歳の誕生日の次の日の2008年4月22日に心臓麻痺で亡くなっています。それを考えると、”アイ・ゴー・メランコリー、アイ・ゴー・グルーミー” という気持にまた別の感じが加わり、ちょっと感慨深いです。

久々の新曲のレコーディングを済ませた後だったとのこと。

ケニー・ロギンズ 「ナイトウォッチ」

Kenny Loggins – Nightwatch

由利にとって調子のくずれない曲とは

朝は、もうちょっとタイトな音が流れていた方が、ハップになれる。たとえば、ケニー・ロギンズあたりが流れていた方が。

だそうです。

ハップ=Happy ってもう完全に死語ですよね。
というか定着したこともあったんでしょうか。

それはともかく、ケニー・ロギンズの、曲は何でしょうね。

注では

ケニー・ロギンズ 元、ロギンズ&メッシーナというデュオの一人。現在はソロ活動中。ボブ・ジェームズがプロデュースした『ナイトウオッチ』は、特のお目覚め用です。

だそう。
Kenny Loggins が Loggins & Messina を解散したのが1976年(最後のアルバムの発売は1977年)。

そしてソロになって2枚目のアルバムが Nightwatch でした。

ケニー・ロギンズ 「ナイトウォッチ」 国内盤 (視聴あり)

由利の朝のお気に入りは、どの曲なのでしょうね。


1トラックめでアルバムタイトル曲の Nigthwatch はやっぱり夜のイメージかなあ。

この中からいちばん流行ったのは、「二人の誓い」という邦題がついている5曲目(実はB面1曲目)でメリッサ・マンチェスター Melissa Manchester とのデュオの”Whenever I Call You ‘Friend'”。最初、しっとりしたバラードかなと思うと、途中から軽快かつちょっとタイトでハッピーな感じがします。

「二人の誓い」

タイトでハッピーな感じがいちばん強いかなと思うのが7曲目の”What a Fool Believes”。ロックから、ほどよくフュージョン寄り。

What a Fool Believs は ドゥービー・ブラザーズのヴァージョンもディスコの定番でした。

実は、もっとフュージョン色の強い6曲目の “Wait a Little While” もある意味ですごく「クリスタル」風かなと個人的には思います。

ロックよりのも、フュージョンよりのもあわせて、タイトでハッピーということで、アルバム全体なんでしょうね。片面かけて、次の面を聴いているあたりで、お目覚め出掛けるしたくに本腰という感じですかね。

そういえばロギンズ&メッシーナは2005年に再結成し、全米ツアーを成功させて、活動を続けています。