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エアプレイ 「シー・ウェイツ・フォー・ミー」

Airplay – She Waits for me

FENの続いての曲はエアプレイの「シー・ウェイツ・フォー・ミー」

エアプレイには、「なんとなく、クリスタル」では、やや詳しい注がついています。

スティーヴ・キプナー、マーク・ジョーダン、マンハッタン・トランファー等のアルバム・プロデューサであるジェイ・グレイドンと、EW&F、ホール&オーツ、デニース・ウィリアムス、マイケル・ジャクソンン等のアルバムのプロデューサであったデヴィッド・フォスターが、リード・ヴォーカルにトミー・フォンダーバークを加え、バックにトトも参加して作ったグループ

結成されたのは1980年。出したアルバムがバンド名と同名の “Airplay”。


このグループの説明としては、実は上の注でだいたい尽きています。というのは、その後の経歴は基本的にはほとんどありません。なぜかというと、このAirplay、プロデューサー主体で、当時のAORブームの乘っかって作られた、限定的プロジェクトによるグループ。アルバムも上記1枚きりです。コンセプト先行で、今でいうと「ユニット」的感覚で作られた言っていいでしょう。上記の他にも、当時の西海岸の名立たるミュージシャンが参加しています。

という経緯から、当時は、仕掛けがあたって流行っていたバンドの曲として FEN で流れていたことになります。もちろん、このとき聴いていた人のほとんどは、1年限定というそのへんの事情は分からなかったでしょうけれど。

アルバム、Airplay は日本盤が「ロマンティック」というタイトルがつけられリリースされています。

アメリカでも仕掛けがあたって人気だったのは確かでしょうが、日本ではそれ以上の人気だったと思います。日本人がイメージする西海岸の海、ハイウェイのさわやかな空気そのままの軽快で健康的な分かりやすいサウンド。

彼ら唯一のアルバムからのシングル・カットはアメリカでは第1曲目のStrandedだけということになっていますが、日本ではこの “She Waits for me” が「彼女はウェイト・フォー・ミー」というタイトルでシングル・リリースされています。このアルバムの中でも特に、当時のAOR特有のスピード感があるけどメロウなハモリのボーカルがたっぷり楽しめます。

アルバム中の曲でも、日本で特に流行ったこの “She Waits for Me” が FENでかかったということでこの小説でことさらにとりあげられたの偶然でしょうか。

クール&ザ・ギャング 「トゥー・ハット」

Kool & the Gang – Too Hot

FEN で次にかかるのがクール&ザ・ギャングの「トゥー・ハット」。

“Too Hot” は 「トゥー・ホット」と書くのが普通だが、この小説の中では、アメリカ英語を聴いいたままをうつしたちょっと気取った「ハット」になってます。

“Too Hot” は Kool & the Gang が1979年11月にリリースしたアルバム 「レディーズ・ナイト Ladies Night」 から、アルバムタイトル曲の “Ladies Night” にひきつづき、翌1980年にシングルリリースされたばかりの曲。


Kool & the Gang はこのアルバムあたりから都会的なテイストを打ち出していきますが、その中でも甘いボーカルの “Too hot” はその色が濃い曲です。

クール&ザ・ギャングは1980年9月には引き続き次のアルバム 「セレブレイト! Celebrate!」をリリース、シングルリリースされた「セレブレーション Celebrtion」がビルボード1位になって大ブレイクし、そのあとも続々と、今ではスタンダードになっているヒット曲を生み出していくわけですが、それは、1980年6月の日付けをもつこの小説より後の歴史ということになります。

アシュフォード&シンプソン 「イズ・イット・スティル・グッド・トゥー・ヤ」

Ashord & Simpson – Is It Still Good to Ya

続く、アシュフォード&シンプソンの「イズ・イット・スティル・グッド・トゥー・ヤ」。

アシュフォード&シンプソンに注がついていて、

黒人のおしどりデュエット・グループ。ソングライターとしても知られ、ダイアナ・ロスなどに曲を提供しております。

ここまでの中で初めての黒人ミュージシャンですね。

Is It Still Good to Ya は1978年の同名のアルバムから1979年にシングルリリースされています。


男性のほうが Nick Ashord と 女性のほうが Valerie Simpson。実生活生活上も夫婦であるデュオですが、上のジャケットだけでなく、たしかに、いろんな写真もステージも、そして歌でも「おしどり」と評されるのがぴったりの息の合いよう。

特に70年代末、80年代初頭のアルバムはどれもメロウなブラックコンテンポラリーの典型で、”Is It Still Good to Ya” は、タイトル曲だけでなく、アルバム全体のほんわかした感じは、夜にも朝にも昼にも向くかも。

90年くらいまではほとんど毎年のようにアルバムを出していて、まだばりばりに活躍中。

去年(2009年11月)に、来日していてブルーノート東京に出演していますが、ブルーノートのサイトで、今の感じが分かります。
www.bluenote.co.jp/jp/sp/091119.html